インバウンドの増加を見込み、札幌市内でホテル・旅館の建設ラッシュが続いている。
旅行業大手の担当者が「30年までは外国人観光客は増加傾向」
という通り、来年開催の東京オリパラや、完成間近の民族共生象徴空間ウポポイに加え、市が30年に招致を目指す“札幌冬季オリパラ”といった材料があるだけに、増加は今後も加速しそうだが、一方からはこの加熱する建設ラッシュを不安視する声が聞こえてくる。
「一昨年は1500室、ここ1年では札幌市内だけで2000室の増加。今はまだ足りないという声も聞くが、これが冷めた時はどうするのか」
というのは札幌市内の大手ホテルマネージャー。
「インバウンド需要が落ち着いたら、ホテル同士の価格競争が激化するのは必至。優勝劣敗が生じてくる」
と分析する。
また、札幌市内の中堅ホテル広報部によれば、
「道内企業が参入するならともかく、道外企業のホテル建設も見かける。地元企業であれば、立ち行かなくなった場合、道が市が音頭を取って“そこそこ”の対応をすると思うが、道外企業であればそうはいかないケースも考えられる」
とし、こう続ける。
「この先の需要と供給を予測して、市が建設の是非を下す監督機関になるべき」
宿泊施設不足により、外国人観光客、特に富裕層の“取りこぼし”が目立つ以上、ホテル・旅館の新設は急務と言えるが、この人物が言う通り、“待った”をかける機関は必要かもしれない。
まちづくりが民間主導である以上、市が“でしゃばる”のは難しい。が、現在建設が進む宿泊施設が“負の遺産”となるのだけは避けてもらいたい。